年をとったネコちゃんが、元気がある、食欲もある、でも痩せてきているという場合、
『甲状腺機能亢進症』である可能性があります。
この病気は、甲状腺が腫れて大きくなり、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることによって起こる病気です。
甲状腺ホルモンは体のほとんどの組織に作用して代謝を盛んにする働きがあります。
これらの効果としてエネルギーが生産され、体温も上がり、心臓の機能も高まり、一見健康な方向に体が変化するのです。そのためネコちゃんはよく食べ、活発になるのです。
しかし、体の中がそれほど活性化すると早く老化し、内蔵機能が長持ちしません。
ですから、早期に発見して、異常な活性化をくい止める必要があります。
甲状腺機能亢進症になると、動きが活発になり、食欲が増すなど、病気というよりむしろ元気と錯覚するような様子が見られるほか、落ち着きがなくなったり、ときに攻撃的な性格になることもあります。
また、たくさん食べるけれど体重が減り、しだいに毛づやも失われ、水をよく飲み、尿の量が増えるといった症状が見られることもあります。さらには嘔吐や下痢をすることもあります。そして、病状が進行してくると、今度は逆に食欲や活動性が低下してきます。
しかし、進行したものでの症状がなければ、ネコちゃんを病院に連れて行こうとまでは思わないような変化です。一見健康に見えても病気は進行していることがあります。そして、健康にみえるときに手を打っておけば、比較的簡単に治療できるかもしれません。
ネコちゃんにこのような症状が見られたら動物病院で診察を受けましょう。
また、健康に見えるから病院には行かないというのではなく、定期的に健康診断を受けていただくことをおすすめします。
人間にとっては1年でも、ネコちゃんは4〜5年分の年をとるのです。
早期発見、早期治療によって症状の悪化を抑えることができれば、発症後もネコちゃんは通常の生活を送ることができます。