すっかり肌寒い季節かと思いきや、地域によっては夏日のところもあるそうで…
今年も残り2ヶ月⛄🍃
寒暖差で体調を崩されないようお過ごしください😊
先月の犬の僧帽弁閉鎖不全症に続き、今月は猫の心臓病の一つである肥大型心筋症についてお話しします。
猫の心臓病にはさまざまなものがありますが、最も多くみられるのは心筋症です。心筋症には「肥大型」「拡張型」「拘束型」と何種類かありますが、猫で一番多いのは肥大型心筋症という病気です。
☆肥大型心筋症とは?
心筋症とは、心臓の筋肉に異常が出る病気です。肥大型心筋症では左心室の筋肉が分厚くなります。そして分厚くなった心臓の筋肉は、縮むのは得意でも拡がるのが苦手なため、心臓が血液をうまく送り出せなくなります。発症年齢は3ヶ月〜17歳と幼齢から高齢まで幅広く、雑種猫やメインクーン、ラグドール、アメリカンショートヘアなどによくみられ雄に多いとも言われています。
☆症状
初期症状はほとんどの子が無症状です。悪化すると左心不全の進行に伴って徐々に活動性の低下や、疲れやすいなどの症状が出始めますが、ゆっくり進行する場合は気づかれないことが多いです。重度に心不全が進行すると呼吸がはやくなる、元気消失、食欲不振などの症状がでたり、動脈血栓塞栓症という血栓が詰まり麻痺が出る、足先が冷たくなるなどの症状がでることもあります。
☆検査
身体検査・・・聴診上で心雑音がみられる場合もありますが、肥大型心筋症の初期段階などではみられないことが多いです。
心臓超音波検査・・・心臓の厚みや心臓の拡張・収縮具合をみることができます。肥大型心筋症の検査として最も有効な検査です。
レントゲン検査・・・心臓の大きさなどがわかります。
血圧測定・・・全身性の高血圧により心筋の肥大が認められることがあります。
血液検査・・・心臓以外の臓器に異常がないか、例えば高齢で甲状腺機能亢進症を持っている場合、その治療をすることで心筋の肥大が改善することがあります。さらに心臓のマーカーを測ることで心臓病の早期発見に役立ちます。
心電図検査・・・不整脈が認められることがあります。
※猫肥大型心筋症の心臓超音波検査画像
☆治療
残念ながら肥大型心筋症を完治させる方法はなく、内科的な対症療法が中心となります。心不全の進行を遅らせることと、血栓塞栓症を予防するのが目的の治療になります。
☆最後に!
定期健診(身体検査)では判明しにくいため、症状がなくても半年〜1年に1回は心臓の超音波検査を受けていただくのが理想的です。当院では3月〜6月まで健康診断のキャンペーンを行っていますので、そのタイミングで検査を受けていただくといいかと思います。