蛋白漏出性腸症とは腸からアルブミンなどのタンパク質が漏れ出すことにより血中のタンパク質が低下している状態のことで、ひとつの疾患を指す名前ではありません。
〈症状〉
慢性的な下痢などの消化器症状がみられることもありますし、全く症状が現れず健康診断などで発覚する場合もあります。
・下痢
・嘔吐
・食欲不振
・元気消失
・体重減少 など…
原因となる疾患により症状が異なる場合があります。
進行すると腹水や胸水、むくみがみられることもあります。
〈原因〉
蛋白漏出性腸症は病気によって引き起こされることが多い症状です。
原因となる疾患は多岐にわたりますが代表的なものは以下の3つになります。
【 腸リンパ管拡張症 】
何らかの原因でリンパの流れが妨げられリンパ管が拡張、または破れてしまいリンパ液が腸管へと漏れ出ることにより起こる疾患です。
【 炎症性腸疾患(IBD) 】
何らかの原因で腸が強い炎症を起こしている症状です。
免疫の異常により発症するとされていますが詳しくはわかっていません。
【 消化管型リンパ腫 】
リンパ腫は「リンパ系細胞の悪性腫瘍」でさまざまな症状を発症します。
〈検査・診断〉
血液検査、レントゲン検査、超音波検査、尿検査、糞便検査で腸に異常がないか他に低タンパク血症を引き起こしている原因がないかを検査します。
全身麻酔をかけ内視鏡や開腹手術で腸の状態を観察する場合や、腸の一部を取り病理検査をする場合もあります。
〈治療〉
原因に応じた治療を行います。腸の炎症を抑えるためステロイド剤や免疫抑制剤、抗生物質などを投薬したり、リンパ腫では抗がん剤の投与などを行います。
また蛋白漏出性腸症になると腸が栄養素を適切に消化・吸収することができないため低脂肪で消化性が良い食事を与えることが重要となります。
食事療法と薬で症状をコントロールすることができれば、すぐ命に関わることはありません。また早期発見のため食欲や元気の有無、食事量に変化はないのにお腹がでて太ったように見えないかなど普段から注意してみてあげてください。
(スタッフの愛犬・ELMOも健康診断で蛋白漏出性腸症が発覚し、数年に渡り投薬と食事療法でうまく付き合っていました。)