甲状腺は喉のあたり(気管の横)にあり、甲状腺ホルモンを産生・分泌しています。甲状腺ホルモンは代謝の促進などに関わっているホルモンです。
今回は甲状腺の病気を2つお話ししたいと思います。
〈甲状腺機能低下症〉
甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの分泌が少なくなる病気です。
猫ではまれで、5歳以上の中〜高齢の犬に多くみられます。
=原因=
ほとんどの場合、甲状腺自体の問題で起こるといわれています。
- =症状=
・元気がなくなる
・あまり食べないのに太ってくる
・すぐ疲れる
・皮膚が厚くなり「悲しそうな顔」になる
・毛が薄くなる
などがあります。- =治療=
血液検査、甲状腺ホルモン検査、超音波検査などを行い診断をします。
甲状腺機能低下症と診断を受けたら甲状腺ホルモンを補充する薬を投与します。
甲状腺の機能自体を回復させることは難しいため定期的に検査を行い、生涯に渡って投薬を続ける必要があります。
〈甲状腺機能亢進症〉
甲状腺機能亢進症は甲状腺機能低下症とは逆に甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる病気です。
犬ではまれで、10歳以上の猫に多くみられます。
=原因=
甲状腺の細胞が異常に数を増やしてしまうことで起こります。
=症状=
・行動が活発になり落ち着きがなくなる
・多飲多尿
・食欲が増えるのに痩せてくる
・脱毛、毛艶が悪くなる
・呼吸促迫
・頻脈、心雑音、心肥大
・下痢、嘔吐
などがあります。
=治療=
主に触診と血液検査、甲状腺ホルモン検査を行い診断をします。
甲状腺機能亢進と診断を受けたら甲状腺ホルモンの分泌をコントロールするため、甲状腺ホルモンの合成阻害薬を投与します。しかし薬によって完治することはなく生涯に渡って投薬を続ける必要があります。
また療法食でホルモン分泌をコントロールできることもありますが、ずっと続ける必要がありますし療法食を食べない猫が多いなどの問題点もあります。
甲状腺機能亢進を起こしている原因が甲状腺の悪性腫瘍である場合や内科的治療で効果がみられない場合は、手術で甲状腺を摘出する場合もあります。
残念ながらこれらの病気は予防法がありません。
そのため定期的に血液検査を含む健康診断を行い、早期発見につなげましょう。
花音ととら吉はすでに10歳を過ぎシニアになりましたが、いつまでも元気に長生きしてほしいものです︎☆