犬のアトピー性皮膚炎は何らかの刺激に体が過剰に反応し、皮膚が痒くなる病気です。アレルギーが原因の一つなので他の犬にはうつりません。
遺伝的素因があるといわれており、柴犬、シーズー、フレンチブルドッグ、トイプードル、G・レトリーバーなどに多くみられます。
比較的若い、生後6ヶ月〜3歳くらいから症状が出始め年齢を重ねるごとに痒みがひどくなる傾向にあります。完治は難しいといわれており生涯にわたりアトピー体質と上手に向き合い、付き合うことが何よりも重要です。
治療には症状を緩和するための薬物療法、スキンケアなどを組み合わせて行います。
薬物療法…痒みが強い場合はステロイド剤の使用が効果的ですが副作用が強いため長期的に使用はできません。そのため当院では安全性が高く比較的長期服用も可能なオクラシチニブ剤やシクロスポリン製剤も使用しています。その他、痒みを持続的に緩和することができる抗体医薬があります。これは一回の注射で約1ヶ月間症状を緩和することができるというものですが、全てのわんちゃんに効果があるというわけではありません。
スキンケア…本来皮膚にはバリア機能がありアレルギー物質を含む様々な刺激が入ってこないようになっています。しかしアトピー性皮膚炎を患う犬の皮膚はこのバリア機能が低下しているため、アレルギー物質が体内に入り込んでしまい痒みを引き起こすのです。そのため低刺激または保湿作用の強いシャンプーを使うとともに、保湿剤を使用してスキンケアをすることで皮膚バリア機能を助けることができます。
皮膚用のドッグフード…健康な皮膚を維持するためのオメガ脂肪酸などを豊富に含んだフードなどを取り入れると、薬の量や頻度を減らすことができるといった治療補助効果が期待できることがあります。
アトピー性皮膚炎と診断されたら皮膚を清潔に保ち、なるべく環境からの刺激を受けないように気をつけてあげましょう。